音声認識だけで書く誤字雑事ログ

なるべくキーボードを利用せずに自分の言葉で伝えるブログ

バイデンが世界を破滅させるのか!? 日本の本気じゃない車のEV化で4年後に車業界が倒産。日本は沈む可能性。

バイデン政権の対中交渉の切り札は「脱炭素」

 米通商代表部(USTR)は2021年3月1日、バイデン政権の通商政策報告書を議会に提出した。報告書には、中国の人権問題に「最優先で対処する」と明記され、ウイグル問題などに対応するため、通商上のあらゆる措置を講じる方針が示された。

 バイデン大統領の本気度は、USTRの新しい代表に、アジア系で対中通商政策に詳しいキャサリン・タイ氏(下院歳入委員会通商担当主席法務官)を指名したことからもうかがえる。

バイデン大統領が世界を破滅させる 親中に傾く米国と日本に迫る危機


 報告書には「国境炭素調整(いわゆる国境炭素税のこと)」措置の導入も盛り込まれた。これは、二酸化炭素を排出する国で製造された製品に、事実上の関税をかけて米国への輸出を制限するものであり、外国企業の排除、国内の雇用保護、脱炭素政策の実現という3つの課題を同時に達成することが狙いである。国境炭素税は、EU(欧州連合)も導入を表明しており、日本を除く先進各国では導入の方向性で具体的な議論が進んでいる。

 他国からの輸入に関税をかけることはWTO(世界貿易機関)の協定違反となる可能性があるため、米欧は「国境炭素税」とは呼んでいないが、これは明らかに関税である。米欧という世界のリーダーがこの制度を導入する以上、WTOにおいても国境炭素税は例外措置となる可能性が高い。

 トランプ前政権は中国に敵対的なポーズを取り、中国からの輸入に高い関税をかけたが、東南アジアを経由した迂回ルートでの輸入が増えただけで、実質的な効果を上げることができなかった。事実上の国境炭素税が導入された場合、迂回した輸出も難しくなるので、中国にとっては大打撃となる。

 ウイグル問題については、少数民族の強制労働によって作られた製品の貿易を規制することが目的であり、国境炭素税が直接、行使されるわけではないだろう。だが外交の世界というのは常にパッケージディール(複数の材料を同時に交渉すること)が行われるので、国境炭素税の導入が中国の人権問題に対する切り札となるのは間違いない。

 トランプ政権時代とは異なり、バイデン政権が本気でこの政策を実施すれば、中国に対して極めて大きな圧力を加えることが可能となる。EUでも同時に国境炭素税が導入されれば、中国は世界の販売ルートを失うため、ほぼ確実に妥協を迫られるはずだ。

 ウイグル問題は、香港問題、そして台湾問題とすべてつながっており、中国を牽制できる強力な武器が整ったことは、日本にとっても朗報といってよいだろう。

 

中国と一緒に日本も影響を受けてしまう

 だがバイデン政権の通商政策(加えてEUの通商政策)は日本経済にも極めて大きな影響を与える可能性がある。中国と並んで日本は二酸化炭素を大量に排出する国であり、仮に国境炭素税が導入された場合、中国と同様、日本の輸出も大打撃を受けてしまうからである。

 実は日本の製造部門における二酸化炭素の排出量(絶対値)は、中国、米国に次いで多い。中国と米国は世界最大の経済大国であり、それぞれ14億人と3億人の人口を有する国だが、日本のわずか人口1億2000万人であるにもかかわらず二酸化炭素の排出量が多い。日本と並ぶ工業大国であり、日本の2倍以上の製品を世界に輸出しているドイツの排出量は日本の6割しかないことを考えると、日本の製造業における脱炭素化はかなり遅れているといわざるを得ない。

 脱炭素の国際交渉では、排出量の絶対値に加えて、人口あたりの排出量も考慮される。そうしないと中国や米国など経済規模が大きい国が一方的に損をしてしまうからである。人口あたりで見た場合、日本の製造業における二酸化炭素の排出量は約3トンとなり、4トンを排出する中国ほどではないが、国際的に見た場合、中国と日本が突出して高い。

 仮に米国と欧州が中国を牽制する目的で、本格的な国境炭素税の導入に踏み切った場合、中国経済は大打撃となるが、このまま何も対策を打たなければ日本も巻き添えを食らってしまう。安倍政権は脱炭素に消極的なスタンスであり、日本の脱炭素化は諸外国と比較すると大幅に遅れた。

 菅政権はこれまでの方針を改め、2035年までに排出量ゼロを宣言したが、国内産業界の反応は鈍い。経団連は炭素税を含むカーボンプライシング(排出抑制を進めるため、炭素に経済的価値を付けること)前向きなスタンスを示しているが、日本商工会議所は「温室効果ガスの排出量の実質ゼロは、カーボンプライシングのような制度で達成できるものではない」として導入に反対する考えを示している。

 経済団体で意見が分かれている以上、国内でスムーズに議論が進む可能性は低く、日本だけが一連の対策に乗り遅れるという事態にもなりかねない。

\ 世界情勢ドキュメンタリーを無料で見る /

日本の真価が問われている

 日本ではどういうわけか、他国であるにもかかわらず、トランプ政権を支持する声があり、トランプ氏は日本に代わって中国に圧力をかけてくれると期待していた人も多い。だがトランプ氏が行ったのは対中関税という経済のブロック化であり、中国とはむしろ距離を置く政策である。

 実は米国の内向き志向というのは、今に始まったことではなく、オバマ政権時代から顕著になっていた現象であり、バイデン政権でもそれは変わらない。トランプ政権は、効果が薄い網羅的な関税で中国と距離を置き、バイデン政権はピンポイントで効果を発揮する国境炭素税を使うだけで、中国と距離を置くという点では同じである。

 特に民主党政権は、労働者を支持基盤としており、国内の雇用保護には極めて熱心である。炭素税によって中国製品を締め出すと同時に、日本製品の輸入も減り、米国の失業率が下がるのであれば、むしろ歓迎というスタンスだろう。

 筆者は、日本は製造業の輸出に頼る従来の体制を改め、国内の消費市場で経済を成長させる消費主導型経済へのシフトが必要であると以前から主張している。しかしながら国内世論は圧倒的に製造業の輸出を強化すべきという声が大きい。製造業の輸出で経済を回すためには、世界各国が自由貿易システムに賛同していることが絶対条件となるわけだが、現実はまったく逆の方向に向かって動き始めている。

 トランプ政権以降、米国はブロック経済に舵を切り、バイデン政権は炭素税でブロック化を強化しようとしている。欧州も域内貿易を重視し、やはり炭素税で域内雇用を保護する方針である。米中欧という主要国(地域)において、完全な自由貿易を主張しているのは(今のところ)輸出依存度が高い中国だけとなっている。

 仮に日本がこのまま製造業の輸出で経済を回していくならば、あらゆる犠牲を払ってでも徹底的に脱炭素化を進め、カーボンフリーの先進国になるか、中国と一緒になって炭素税の導入に反対していくしかない。だが炭素税の導入に反対するということは、ウイグル問題や香港問題を解決する有力手段を放棄するということを意味している。

 日本は技術大国であり、脱炭素についてもその技術力を生かしてリーダーシップを発揮できる(はずである)。中国を封じ込める最有力手段である脱炭素シフトについて本腰を入れられるのか。日本の真価が問われている。

\ エ〇からアニメからドキュメンタリーまで全部無料 /