武田良太総務相は16日の記者会見で、NTTから接待を受けていた谷脇康彦元総務審議官を停職3カ月の懲戒処分とし、谷脇氏が提出した辞職願を同日付で承認したと発表した。武田氏はその後の参院総務委員会で、辞職の理由について、谷脇氏が「国民に迷惑をかけ、行政に対する信用を失墜させた。その責をひしひしと感じている」と説明したことを明らかにした。
谷脇氏の辞職を受け、菅義偉首相は16日、首相官邸で記者団に「国家公務員倫理法に抵触し、処分を受けたことは極めて遺憾だ」と語った。武田氏は会見で「深くおわび申し上げる」と陳謝。再発防止に努めるとともに、一連の接待問題を巡り、行政への影響を調査する第三者による「情報通信行政検証委員会」の初会合を17日に開くと表明した。吉野弦太弁護士を座長に有識者4人で構成する。
谷脇氏への退職金の支払いは当面留保し、今後の調査で懲戒処分に当たる新たな事案が発覚すれば減額して支給する。また、同じくNTTから接待を受けた巻口英司国際戦略局長は減給10分の1（2カ月）の懲戒処分とした。
総務省の調査によると、谷脇氏は2018年に2回（1人当たりの飲食代1万7431円、6万480円）、20年に1回（同2万8941円）、NTTグループの関連会社が運営する東京都内の飲食店で、NTTの澤田純社長らと会食。20年の会食は5000円を支払ったが、18年の2回は支払っていなかった。
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谷脇氏は、菅氏の長男正剛（せいごう）氏が勤める放送事業会社「東北新社」による接待問題で、2月24日に減給10分の2（3カ月）の懲戒処分を受けていた。この際の調査で、国家公務員倫理規程に違反する疑いのある接待は全て報告するよう求められたが、報告していなかった。このため倫理規程に加え、上司の命令に従う義務と信用失墜行為の禁止を定めた国家公務員法にも違反すると認定し、停職処分とした。谷脇氏は8日付で官房付に更迭され、31日に定年退職することになっていた。
巻口氏は20年6月に山田真貴子前内閣広報官や澤田氏らと会食。1人当たりの飲食代は4万8165円で、3000円相当の手土産も受け取っていた。巻口氏は1万円を支払っていたという。
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