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中国でタピオカミルクティーが大人気!? 中国でミルクティーに8時間の行列! 今、お茶がブームになる

【冷蔵】EMIAL TAPIOCA TIME ROYAL タピオカミルクティー 255g X10本

12月上旬、新型コロナウイルスの感染拡大から1年を迎える中国・武漢で「ミルクティーを求めて8時間の大行列」というニュースが飛び込んできた。武漢に住む30歳の友人に聞いてみたところ、その友人も、まさにその店に買いに行った1人だったという。中国ではこの2~3年、ミルクティーやフルーツティーなどのお茶ドリンクが大流行中だが、購買層で最も多いのが若い女性だ。お茶はそもそも中国人にとって馴染み深いものなのに、なぜ今、これほどお茶ドリンクが人気となっているのか。(ジャーナリスト 中島 恵) 

 

ミルクティーを買うために2時間並ぶ若い中国人女性

「開店直後ではないのですが、私も友人と一緒に買いに行きました。時間が遅かったのに、やはり大人気で2時間くらい並びましたね。そこは、隣の湖南省を中心とするお茶ドリンクのチェーン店(『茶顔悦色』)で、武漢(湖北省)に初めてできた店だったので、物珍しさがありました。私は生クリームが上にのったミルクティー(16元=約240円)を注文しましたが、おいしかったですよ」

 武漢在住の友人がこう言うように、新しいもの好き、特に若い中国人女性が飛びついたようだが、それにしても、数時間待ってでも1杯のミルクティーを買うという現代中国の若者の消費行動に驚かされる。

 中国のお茶ドリンク専門のチェーン店といえば、すでにいくつもある。北京や上海など、あちこちで見かける代表的なチェーン店が『喜茶』(HEY TEA)や『名雪的茶』(NAYUKI)だ。

 中国メディアの情報によると、2012年に広東省江門市に1号店を開いた『喜茶』は全国に約400店舗を、2015年に同じ広東省深セン市からスタートした『名雪的茶』は約420店舗を数える。

『奈雪的茶』は大阪にも進出しているので、日本人でも知っている人がいるだろう。ほかにも『楽楽茶』(LELE CHA)や、前述したように地方都市を中心としたお茶ドリンク専門チェーン店などがいくつもあり、まさに百花繚乱状態だ。

 

中国の新式お茶ドリンク市場は約1020億元(約1兆6200億円)に拡大

 中国の「2020新式茶飲料白書」によると、2020年の中国の新式お茶ドリンク市場は約1020億元(約1兆6200億円)に拡大しており、過去最高となった。

 新式お茶ドリンクとは、従来のように茶葉にお湯を注ぐタイプの中国茶とは異なるお茶のアレンジティーのこと。ミルクティーやフルーツティー、タピオカミルクティー、チーズティー、抹茶などを使ったドリンクなどだ。

 新式お茶ドリンクの消費者は人口14億人の中国で約3億4000万人に上り、その70%が90后(ジウリンホー、90年代生まれ)、00后(リンリンホー、2000年代生まれ)の若者たち。特に女性が多いという特徴がある。彼女たちの多くが週に1回以上、新式お茶ドリンクを購入し、その費用に1カ月400元以上(約6000円)も費やしているといわれている。

 中国では90年代後半に台湾や香港系のカフェが流行った時期があり、タピオカミルクティーも日本同様、数年前から流行っていたが、現在のブームは台湾からきたタピオカに限らず、さまざまなお茶ドリンクが人気となり、市場を押し広げている点が特徴だ。

 その理由は何なのか。

 

 

 

お茶ドリンクの人気は中国全土に拡大中

 上海に住む20代後半の女性によれば、狙いはやはり「インスタ映え」だという。

 特にかわいいのは『奈雪的茶』のいちごなどを使ったフルーツティーで、ドリンクの中が2層や3層になっているタイプのもの。横から見て断面が美しい写真をウィーチャットや小紅書(RED)などのSNSに投稿すると、友人たちからのウケがとてもいいという。

 以前、取材に行ったときに知り合った貴州省に住む20代の女性も「カップのデザインなど見た目もかわいいし、もちろん味もおいしいから好き。買うとつい写真を撮ってSNSに載せてしまいます」と話す。

 この話から、お茶ドリンクの人気は、大都市圏に限らず、中国全土に広まっていることがわかる。ネットの影響で、今では沿海部と内陸部の間に流行の時差はないのだ。パンなども売っている店もあり、「ドリンクも量が多いから、けっこうお腹にたまり、満足感も得られますね」(貴州省の女性)という。

 90后、00后の若い女性といえば、今の中国で最も流行に敏感な人々。中国のZ世代ともいわれる彼女たちが流行をリードしているといわれ、購買力もある。すでに飽和状態となっているお茶ドリンク市場だが、各チェーン店は季節ごとの新メニューを投入したり、内陸部に新店舗をオープンしたりして需要を喚起している。

 最近では、ただ甘いだけでは身体に悪いとして低糖や無糖メニューが人気で、『奈雪的茶』が自家茶園で無添加、無香料の茶葉を生産していることなども、健康を気にする若者を惹きつけているとされる。

 

中国のレストランでは中国茶は高価

 しかし、中国はもともとお茶大国だったはず。

 烏龍茶やジャスミン茶を始め、中国産の紅茶や緑茶もある。中国はお茶の一大生産地であり、消費地でもある。中国の老若男女にとって、お茶は目新しいものではないのでは?と思っていたのだが、上海に住む女性はこう言う。

「中国人といってもいろいろ。お茶をよく飲む地域もあれば、そうでもない地域もあり、年代によっても異なります。私はふだん、家でも会社でも、あまりお茶を飲みません。以前、会社にはティーバッグの無料の中国茶が置いてあって、それを紙コップに入れて給湯器からお湯をさして飲んでいましたが、おいしいと思ったことはないです。レストランに行くと高級な烏龍茶などがメニューにありますが、100元(約1500円)以上もする高いものもあるので、注文したことはないです。だから、中国人といっても、お茶を身近だと思わない若者のほうが多いんじゃないでしょうか」

 なるほど。確かに、中国のレストランに行くと、メニューに書いてある中国茶は高価で、料理より高いこともあってびっくりする。外食で飲む中国茶はどれも高いため、「茶葉は家から持参してお湯だけもらう」(上海の50代の男性)という人もいて、私もレストランで、自宅からわざわざ持参した茶葉に、お湯だけもらってさしている人を何度も目撃したことがある。

 日本の飲食店では無料の日本茶が提供されることが当たり前だが、中国の飲食店では無料で出されるのは白湯のことが多い。日本の中国料理店では、お酒を飲まない人は中国茶を注文することがあるが、中国では「中国茶=高い」というイメージがあるので、中国料理を食べながらオレンジジュースを飲むという人も少なくない。 

 

国潮(グオチャオ)ブームでお茶に対する意識が変わってきた

 このように、中国の若者たちの間ではお茶は身近な存在ではなく、日本人が想像するように「中国人はみんな烏龍茶を飲んでいる」ということもないが、ここ数年の国潮(グオチャオ)ブームによってお茶に対する意識が変わってきた。

 国潮とは中国の伝統文化と現代のトレンドを組み合わせたものの流行のことだ。中国的なモチーフなどを生かしたファッションが代表的なものだが、ミルクティーやフルーツティーのように、中国にもともとあったお茶に注目し、そこに新しいテイストを取り入れたお茶ドリンクも、国潮のひとつといえるだろう。

 それに、以前は中国の若者が気軽に友だち同士で立ち寄れるカフェは少なかった。スターバックスが中国に進出したのは1999年と意外に早く、その後、地場系カフェのチェーン店も次々とできていったが、コーヒーは1杯25元(約375円)以上することが多く、安くはない。

 一方、お茶ドリンクは前述した『奈雪的茶』でも16元(約240円)ほどからと比較的安く、店内にも気軽に入れる。しかも、真っ黒なコーヒーと違ってSNS映えするということで人気に火がついたのだ。

 私が見たところ、10代後半~30歳くらいまでの若者はお茶ドリンクに、30歳~40歳くらいの80后(バーリンホー、1980年代生まれ)はコーヒーにハマっている人が多い。

 コーヒーはまだちょっと苦いけれど、デザート感覚で、多少甘味のあるお茶ドリンクなら長時間並んででも買いたい。そんな若者が多いから、ここまで人気になっているのでないだろうか。