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睡眠学者が教える寝かしつけで困らない裏技 寝かしつけに「赤い電球」が効く科学的理由

赤ちゃんの寝かしつけに悩む親は多いと思います。寝かしつけに関する本や記事、ブログはあふれていますが、矛盾しているものもたくさんあります。「赤ちゃん中心」の授乳と寝かしつけを進める専門家がいるかと思えば、厳しいルーティンが必要と考える専門家もいます。いったいどの方法がベストなのでしょうか。

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2017年に体内時計の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した米ロックフェラー大学のマイケル・ヤング博士の研究室で研究助手を務め、自らも赤ちゃんの寝かしつけに悩んだ筆者が、科学に基づいた赤ちゃんを寝かしつける方法を伝授します。

 

長女のリアが生まれて、寝室の照明をどうしたらいいか考えていたときにひらめいたのが、研究室で使っている裏ワザを応用することでした。

 人間の体内時計は、赤い光には反応せず、ふつうの白い電球やスマホやテレビの画面に含まれる青い光に影響されやすいことがわかっています。わたしは、寝室用に赤い電球を買って、夜間の授乳やおむつ替えのときだけ使うことにしました。

 試してみると、リアはすぐにこの環境に慣れました。寝室で青い光を浴びることがなくなり、メラトニン(睡眠をうながすホルモン)濃度が高まったおかげで、夜は眠るものだと、体で理解したようです。

 赤い光は、メラトニン濃度に影響しないので、寝ている赤ちゃんの邪魔をしません。授乳やおむつ替え、夜泣きのときの様子を見るために明るさを確保しつつ、青い光のように赤ちゃんに朝だというサインを送ることもない、いいことずくめです。

 

昼モードと夜モードをしっかり分ける

 「赤い光だけで朝までぐっすり眠れるようになるの?」

 一言で言えば、答えは「あと一歩」。それだけで完璧とはいきませんが、 明かりを正しく使うことは、簡単におうちで実践でき、すぐに準備できる解決策です。

 わたしは、1日を2つのモードに分け、「昼モード」「夜モード」 と呼んでいます。言葉のイメージどおり、昼モードは明るく活動的、夜モードは暗く静かな状態を保ちます。脳の親時計は生まれつき備わっていますが、生まれてすぐはまだでたらめに動いています。

 親にできることは、早くから昼モードと夜モードのちがいをはっきりさせて、赤ちゃんの体内時計が正しく動くようにサポートすることです。これは、一生役立つ健康的な睡眠習慣を身につけさせることにつながります。

 0歳〜1歳の赤ちゃんを育てるママ・パパがいちばん頭を悩ませているのは、夜泣きだと思います。一方で、成長して2歳〜4歳になると、就寝時間と起床時間が問題になってきます。

 「子どもが早朝に起きてしまい、困っている」という話をよく聞きます。家族全員が朝5時に起きることを、仕方のないことと受け入れてしまっている家族も多いです。でも、そんなことはないんです!

 わたしたちの体に「起きる時間だよ」と知らせるのは、朝の光に含まれる青の成分です。夏には、午前4時頃に日が昇ります。朝4時に寝室に日光がさしこむと、 赤ちゃんの体内時計は、それを「起きて!」の合図だと受け取ってしまいます。

 どうすれば、これを防げるのでしょう?

 

遮光カーテンを寝室に取り付ける

 答えは簡単です。光を完全にシャットアウトする遮光カーテンを買って、赤ちゃんを寝かせている部屋(子ども部屋またはママ・パパの寝室)の窓に取りつけましょう。

 夜にはカーテンをきちんと閉め、カーテンとカーテン、カーテンと壁のすきまをなるべく小さくしましょう。必要であれば、カーテンと壁のすきまをテープでふさいで、光が入らないようにしてもいいでしょう。

 いま使っているカーテンが気に入っているのであれば、遮光ライナーをつける、窓枠内にテンションポールで遮光性のあるカフェカーテンやタブカーテンをつける、窓枠内に遮光性のあるロールスクリーンを設置する……といった方法もあります。方法はどうであれ、遮光性のある布で、夜モードのあいだ 窓をおおうことができれば、問題なしです。

 きちんと遮光できているかどうか、実際に光がさしこむ朝にチェックしましょう。カーテンを閉めたとき、夜中と同じ暗さになることが理想です。わたしたちの目は光にとても敏感で、光のつぶ(光子)ひとつでさえ感じてしまいます。

 光のつぶひとつでは「朝だよ、起きて!」 と体内時計に知らせることはできませんが、ごく弱い光をほんの短時間浴びるだけで、目覚めを引き起こします。光が5分ちらつくだけでも、時計はリセットされ、体内時計が乱れてしまうのです。

 赤ちゃんの部屋を暗くすれば、赤ちゃんに起きる時間を知らせるのは、太陽ではなく、あなたの役目になります。 起きる時間まで部屋が暗いままなら、体内時計としては、午前4時はまだ夜ということになるのです。

 では、寝る前の時間はどうでしょう。夕方の日光では、青い光が減り、赤い光の割合が増えます。赤い光が強くなると、睡眠をうながすホルモンであるメラトニンが生成され、眠くなっていきます。

 ところが、このあと部屋の明かりやテレビやスマホの画面の光を浴びつづけると、メラトニンの生成がうまくいかなくなります。

 赤ちゃんには、夕方以降はできるだけ青い光を当てないようにします。そして赤ちゃんが夜に寝る部屋では、赤いライトを使いましょう。

 ライトに使う赤い電球は、60W相当のLEDを買うようにしてください。従来の白熱電球より長持ちするだけでなく、赤い色彩がより「はっきり」しているため、赤ちゃんの睡眠に適しています。

 60Wなら、本が読めるくらいの明るさもある一方で、電気をつけたまま寝たい子のために部屋の隅に置いておいても明るすぎるということはありません。おむつ替えや授乳などのお世話をするのには十分な明るさです。ルーメン(lm)換算では700〜800lmが目安です。

 

夜中や早朝に起きても夜モードを保つ

 赤ちゃんが夜中や早朝に起きてしまったときも、夜モードのまま。寝室からは出さず、赤いライトだけをつけ、遮光カーテンは閉めておきます。赤ちゃんが小さいほど、おっぱいをあげるのには時間がかかり、多くのお母さんがスマホで時間をつぶしていると思います。わたしもそうです。

 ただ、スマホの画面から出る光には、夕方の自然光より多くの青い光(ブルーライト)が含まれています。そして、スマホであれパソコンであれ、夜に画面を見るとメラトニンの生成が遅れ、 寝つきが悪くなることが証明されています。

 これも、簡単に解決できます。スマホやパソコンのナイトシフト (iOS)やナイトライト (Android)機能を使うか、 ブルーライトをフィルタリングする無料アプリをインストールしましょう。あなたも赤ちゃんもブルーライトを浴びる量が減り、夜中の授乳のあとも、よりスムーズにもう一度眠れるでしょう。

 赤ちゃんが寝る部屋からは、青い光をすべて取りのぞいてください。青い光は、青色に光っているとはかぎりません。緑色の光にも含まれています。青く光る目覚まし時計も、緑のランプが光る充電器も、部屋に置かないようにするか、テープや布で覆いましょう。絶対に失敗したくないなら、赤い光だけを使っておけば安心です。

 起きる時間になったら、1日のはじまりを知らせて、ルーティーンを開始します。「おはよう」と言ってカーテンを開け、赤ちゃんを起こすときは、昼間用の声で話しかけましょう。目標は、夜モードと昼モードのちがいをはっきりさせることです。昼間の活動、お昼寝や食事は、夜の活動とはまったくちがうやり方にします。

 そのために、いちばん大切なのは、昼寝の時間に部屋を暗くしすぎないことです。昼寝が長引かないよう、夜のようにぐっすり眠れる環境にはしません。おくるみは使わず、昼寝の時間が終わったら起こしましょう。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、お昼寝をするとき明るくても暗くても気にしませんし、昼間に日光に当てることで、赤ちゃんの体内時計にまだ昼間だと教えることができます。まだメラトニンを生成する時間ではなく、夜のように長く眠るときではないとわかってもらうのです。

 バウンサーやスウィングベッドなどを使ってもいいですが、目を離さないでください。ベビーカーのほうが寝つきやすい子は、ベビーカーで散歩しながらのお昼寝でもかまいません。昼間は、赤ちゃんの周りが静かになりすぎないように、遊んだり、話しかけたり、音楽をかけたり、出かけたりしましょう。

 反対に、こうした昼間の活動、光や音は、夜になったらゼロにします。寝かしつけの時間がきたら、夜モードをはじめます。寝室から赤ちゃんを出さず、声の大きさはささやき声にします。いちばん大切なのは、ふつうの照明はすべて消して、赤いライトだけを使うことです。

 

光の浴び方で寝つきが変わる

 光に対する人間の反応を確かめた実験があります。2017年に、週末に参加者を集めてキャンプをした実験です。

 多くの参加者が、寝つきが悪い、日頃からすっきり目覚められない、倦怠感がある、ベッドから出て数時間後にやっと「目が覚める」などと話していました。実際、事前の測定結果では、参加者たちのメラトニンの濃度は、起床時間・就寝時間と同期されていませんでした。

 本来、メラトニンの濃度は、寝る時間にピークとなり、起きる時間に最小となるはずですが、参加者たちのメラトニンは目覚めたあとも高いままでした。

 実験の当日、参加者はキャンプをするグループと、いつもどおりにすごすグループに分けられました。キャンプをする人たちは、照明や、スマホやパソコンがない状態ですごしてもらいます。

 すると、キャンプをしてすごしたグループでは、メラトニンの時差ボケは解消されました。いつもの生活をつづけたグループと比べると、キャンプに参加したグループは、睡眠で疲労回復した状態が長くつづくようになり、寝つきや目覚めがよくなりました。この調査から、光の浴び方がいかに重要かがわかります。

 キャンプにでも行かないかぎり、わたしたちは日が沈んだあとも明るい場所で活動して、日の出後もしばらくは眠ろうとします。照明や画面の光は夜の睡眠の、日光は朝の睡眠のじゃまになります。とくに夏は、緯度にもよりますが、起床時間よりずっと早くに日が昇ります。

 まとめると、日中に浴びる光の量を増やし、夜と早朝に減らすことで、ぐっすり眠り、すっきり起きられるようになるということです。