大みそかの恒例行事といえば、「除夜の鐘」だが、2019年、騒音を理由に、一部地域で自粛となった。
そして今回、正午を知らせるサイレンの音が消えようとしている。
東京・大田区で午後5時を伝えるメロディー。
こうした時刻を知らせる“地域の音”は、騒音なのだろうか。
埼玉・熊谷市。
この地域の音は、消防署の屋上、はしごを登った上に設置された巨大なスピーカーから流される。
毎日、正午に鳴らされるサイレンは、およそ2分間続く。
熊谷市で、60年以上鳴らされてきた、このサイレン。
2020年いっぱいで終了することになった。
その理由の1つが、市民から寄せられた“騒音”との声。
熊谷市消防本部 消防総務課 消防司令・青木一剛さん「中には、消防サイレンがちょっと大きいという声等もありましたけれども、多くの市民の皆さんからは、好意的に受け止められていたのではないかと」
消防署の向かいにある美容室。
サイレンを騒音と感じているのだろうか。
消防署の向かいの美容室「子どもも、おなかの中にいる時から聞いているので、昼寝してても起きちゃうとかないです。毎日のことだから慣れているけど、お客さんとかは『何? 空襲?』みたいな、びっくりするというのはある」
一方で、子育て中の人からは、「やめてほしい」との声も聞かれた。
近所の子育て中の女性「子どもが怖がっちゃうので、12時になるちょっと前に、おうち入ろうねっていつも言ってます。音楽とかにしてほしいなと思います」
全国には、サイレンを鳴らす消防署は、ほかにもある。
なぜ、鳴らしているのしょうか。
熊谷市消防本部 消防総務課 消防司令・青木さん「昭和30年(1955年)ごろから、始動点検を兼ねて、お昼の時報代わりにサイレンを流してきた」
サイレンの本来の役割は、大きな火災などがあった際に、地域に注意を呼びかけたり、消防団員を集めたりすること。
そのための設備点検を兼ねて鳴らされてきた、正午のサイレン。
いつしか地域の音として定着していた。
しかし近年では、夜勤明けの人や乳幼児がいる家庭から「うるさい」との声が上がり、中止の流れになっている。
熊谷市の場合、防災無線などが整備されたことで、2020年いっぱいで、すべての消防署で正午のサイレンが中止されることになった。
しかし、地域の音が消えることに、「さみしい」との声も聞かれる。
消防署の向かいの美容室「え!? なくなっちゃうんですか!?」
街の人「本当に慣れ親しんでいるので、身に染みちゃってるというか...」